エリアフ・インバルによる特別講義レポート

©堀田力丸
©堀田力丸

東京都交響楽団(都響)の広報の方よりイベント情報をお寄せいただき、こちらのイベントカレンダーに情報を掲載したところ、「3月11日にインバル氏が東大で講義をするので、いかがですか?」とお誘いをいただき行って参りました! すべてではありませんが、講義内容の一部をレポートしますので、どうぞお付き合いください^^

なお、インバル氏は、2008年から都響のプリンシパル・コンダクターを務めています(2014年4月より桂冠指揮者)。

都響マエストロ・ビジット

マエストロ・ビジットとは?

都響ホームページによりますと・・・

 

"都響と都響のマエストロが進める教育プロジェクトが「都響マエストロ・ビジット」です。

マエストロと都響メンバーが都内の学校を訪問して特別授業を行い、子どもたちとの対話を通して、クラシック音楽、オーケストラへの理解と興味を引き出すとともに、夢をもつこと、夢に向かって努力することの大切さなどを伝えます。" 

 

演奏会だけでなく、こうした教育プロジェクトも展開されているんですね。クラシック音楽を女性や若い世代にも聴いて欲しい!と思っている女子クラ部なので、こんな取り組みがあることに思わず拍手!

 

このマエストロ・ビジットは前回が2012年の2月のようだったので、今回は実に2年ぶりの開催、第15回めだそうです。

あのエリアフ・インバル氏が東大の第2食堂にいた

第二食堂にて
第二食堂にて

東大には初めて伺ったのですが、さすが趣のある学び舎がそこかしこと点在。その中でも、第2食堂というところが会場と聞き、広い構内で迷いながらも到着。すでに東京大学音楽部管弦楽団の方々のウェルカム演奏が始まっており、それを聴いているマエストロ・インバル。よくよく考えてみると、コレってすごいことですね。そのシチュエーションに思わず感動・・・

 

マエストロ・インバルの熱の入ったトークに釘付け

マエストロはイスラエル出身。

すでに2歳半から英才教育を受けながら、子どもの頃から哲学に興味がわき始めていたようです。

また、中東の音楽は西洋音楽とは異なり、クォーター・トーン、つまり”四分音”(半音の半分の音程)が使われており、神秘的な響きを醸していることも相まって、スピリチュアルでアートな世界に小さいときから惹かれていました。

13歳の頃にパレスチナ管弦楽団(後のイスラエル・フィルハーモニー管弦楽団)創立者でもある、天才ヴァイオリニスト、ブロニスラフ・フーベルマン氏などに学ぶ機会があり、ヴァイオリン奏者として練習に励んでいました。

 

イスラエルには兵役制度があり、イスラエル軍の中に吹奏楽ではなくオーケストラが存在しており、マエストロの兵役内容は、この軍のオーケストラでコンマス、そしてアシスタント・コンダクターとして活動すること。

そうこうしているうちに、「軍隊オケの中で腕のいい指揮者がいるらしい」という噂が広まり、イスラエル・フィルに呼ばれ、バーンスタインの前で指揮をしたところ「すぐにヨーロッパに行って学んできなさい」と、奨学金を渡されてパリ音楽院へいざ出発。

 

ちなみに奥様との出会いは、このパリ音楽院時代だそうです。とあるコンサートで出会い、コーヒーに誘ったのがなれ初めだそうです。

インバルといえばマーラー!

「何にでも初めて出会う瞬間があります。いろいろな曲との出会い。中でも、マーラーとの出会いは私にとって、まさに運命的な出会いでした」

 

マーラーの曲は、誰でも指揮がうまくできるとは限らないそうです。たとえば、あのカラヤンも少ししかやらなかったし、ジュリーニも2、3曲やっただけ。サヴァリッシュも「マーラーはよく理解できないから、自分は演奏しない」と言うほど。

 

マーラーを一言でいうと "Never something sure in his life"。

マーラーの人生において、何一つ確実としたものはなく、彼の人生は”不安”や”疑念”で溢れていました。同時代の人たちは、なぜそんなに不安や悩みを表現するのか? と彼の曲を理解できなかったそうです。

 

"私の時代は50年後に到来するだろう"と、マーラーは言い残します。

そして、その予言どおり1961年、世界で空前のマーラー・ブームが起こります。

第二次世界大戦以降、人々はやっとこのマーラーの世界を理解し始めたわけです。

また、作曲家には2つのタイプがいます。

 

①客観的な作曲家:ストラヴィンスキー、ブルックナーなど

②主観的な作曲家:マーラー、ショスタコーヴィチ、ベルリオーズ、チャイコフスキーなど

 

彼らはみな、音楽を創るときに悩んだり、苦しんだりしましたが、たとえばストラヴィンスキーは、そういった悩みの類を作品の中で解決していた。一方マーラーなどは、作品の中でそういう悩みや不安を解決せずにそのまま表現している。こうした内省的な部分をどうオーケストラで表現するか。

 

「指揮者とオーケストラの間には、不思議ですがテレパシーが通じる瞬間があります。

自分が『あぁ、この瞬間に、こういう音を響かせて欲しい』と念じると、その通りになったりします。

とてもスピリチュアルな話になりますが、指揮者というのは、表現したい”世界”を誰よりも明確にもつ必要があり、それをオーケストラとのコミュニケーションを通じて提示し、表現していくこがとても重要なのです」

 

まさかの実演タイム!

マエストロの講義の後、学生の皆さんから質疑応答があり、丁寧に答えていくマエストロ。

そしてそのうちの一人が「図々しいお願いなのですが・・・今、僕たちを指揮してくださいませんか?」という直球リクエストが!

「まさか~そこまではやらないよね~」なんて思っていたのですが、「じゃぁ、ちょっとだけね。全部はやらないけど、少しだけ。」と、マエストロが立ち上がり、指揮を始めました。

 

曲はウェルカム演奏でやった、モーツァルトの≪アイネ・クライネ・ナハトムジーク≫第1楽章。

「こうして若い学生たちの演奏を聴いていると、自分の若い頃を思い出す」とマエストロはおっしゃっていました。

 

一流のプロフェッショナルから直接、話を聴いたこの素晴らしい機会を、これからの人生の糧として頑張ってもらいたいと思います。

 

マエストロ・インバルは7月20日、21日のマーラー公演を指揮します。

その「都響スペシャル」で取り上げる 交響曲第10番(デリック・クック補完版)について熱く語っています。

http://www.tmso.or.jp/j/movie/special/2014/

ぜひぜひこちらの動画もチェックして、マエストロの音を聴きに行ってみてください。

 

今回はこのような貴重な機会をいただきまして、都響の方には厚く御礼申し上げます!

 

 

東京都交響楽団 http://www.tmso.or.jp/

 

東京大学音楽部管弦楽団 http://www.ut-orch.com/

 

 

マーラー:交響曲第5番 COCO-73074
マーラー:交響曲第5番 COCO-73074

 

「インバルといえばマーラー」とクラシックファンに印象付けることになった歴史的な録音が、1985年から1年をかけて行われた、フランクフルト放送交響楽団とのマーラー全集録音。

特に第4番は、日本ではレコード・アカデミー賞受賞のほか、海外でもドイツ・レコード大賞やディアパゾン・ドール大賞(フランス)を受賞するなど、世界的な評価を確立した作品。

 

左は、女子クラ部でもおなじみ第5番のジャケット。この全集、白地にマーラーの横顔というシンプルなデザインが目印です。

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