オペラができるまで~藤原歌劇団《ラ・ボエーム》の舞台裏追跡レポ~

今まで女子クラ部でもオペラGPや本番公演のレポートをしてまいりましたが、歌手の皆さんの迫力のある歌声はもちろん、その大掛かりな舞台、華麗な衣装、演技だってしっかりこなす大勢の合唱団・・・

オペラの舞台を構成する想像もできないほど沢山の要素に驚きあきれることも!

 

だから、今回は「オペラのできるまで」をちょこっと覗かせていただきました。

 

11月1~3日にBunkamuraオーチャードホールで行われる、藤原歌劇団のオペラ《ラ・ボエーム》

女子クラ部では、オペラ初心者のレポーターたちが、昭和音楽大学にて行われている立稽古から、本番直前GPまでを取材してまいります。

 

➠ 取材1日目(第2幕の立稽古)

 取材2日目(第1幕の立稽古)

 取材3日目(第1幕、第4幕後半の立稽古)

 取材4日目(来日キャスト登場!)

 取材5日目(GP)

 いよいよ本番です!!

 オール日本人キャストによる第2日目の公演に観る、若者たちのドラマ!!

 

引率者は、小田島久恵さん。(ありがとうございます!!)

取材1日目 おどろきの徹底演技指導と、「ありがとう」に凝集された信頼関係

第1日目のレポーターは、みきさんです♪ 

立ち稽古を見学するのは私にとって初めての経験で、目にしたものすべて新鮮で興味深く、ますます来月の本番が楽しみになる貴重な経験となりました。


中央、こちら側を向いておられるのが演出の岩田さん
中央、こちら側を向いておられるのが演出の岩田さん

オペラ鑑賞もまだまだ初心者の私は、ドキドキしながら新百合ヶ丘にある昭和音楽大学の練習室に入ります。

 

そこにはピアノと椅子に座って和やかに談笑されている皆さんのお姿。

想像よりカジュアルな服装でコーヒーを床に置いている団員さんが楽しそうにお話されている姿を見て、変な表現で申し訳ないですが、オペラという美しい芸術を作っているのも人間なんだと不思議な感覚になりました。

 

ただ、風邪をひかれて周囲に伝染さないようにと皆さんとは離れた場所に椅子を置いて座っていらっしゃる団員さんもいらっしゃり、厳しい意識下で皆さんが本番に向けて練習されているんだと、私まで身が引き締まるような思いになりました。

10月2日から立ち稽古がスタートしており、現在はほぼ仕上げの段階だとの事。

どんな稽古になるだろうと少しお待ちしていると、演出の岩田達宗さんが登場し稽古が開始されました。

 

岩田さんは登場された瞬間から稽古の最後まで、ずっとエネルギッシュに稽古を見てらっしゃいましたが、近寄り難さは一切なく、団員さんとの距離がとても近くに感じられました。

 

そして岩田さんは、稽古中はシーンの節目に必ず「ありがとう!!」と言われます。

必ず、なのです。

この「ありがとう!」は熱心に稽古されている団員さんには、とても嬉しい言葉ではないでしょうか。

稽古の合間にこの言葉を聞くたびに、皆さんの団結力や信頼関係が高まっているような気がして、勝手にじわじわと感動しておりました。

本日は第2幕の立ち稽古。

短いシーンを何度も繰り返します。そして、演出の指導がびっくりするほどに細やかです。

椅子やテーブル、グラスを持ち込む時の動作や位置、主役が歌っている時の周囲の表情や目線などを、舞台に上がっているすべての役に対して細かく指導されます。

 

オペラにここまで完全な演技を目指しているのかと、私の中のオペラのイメージがガラガラと崩れました。

演出の指導とそのように演技してほしいという裏づけとが常にセットになって、岩田さんから語られるため、立稽古を繰り返していくうちに、指導を受けている団員さんだけでなく、あの場にいたすべての皆さんが、《ラ・ボエームという作品に対する理解をどんどん深めていっているように思いました。

(見識の浅い私でさえ、作品の理解が深まった気になってしまうほどです!)

 

今日の立稽古を見学できたおかげで、私は今後あらすじや台詞、歌だけでなく、登場する人物の細かい気持ちの動きと音楽の共鳴を楽しむことができそうで、感謝の気持ちでいっぱいです。

 

藤原歌劇団の《ラ・ボエーム》への熱い思いを感じることができた時間でした。

11月1日からの公演が素晴らしいものになりますよう、応援いたします!

by みき

[おまけ]

《ラ・ボエーム》の第2幕は、第1幕で出会ったミミとロドルフォが、先に食事へと出かけていった仲間たちを追って街にくり出し、カフェ・モミュスで合流するシーン。

 

クリスマス・イブでにぎわう通り。一行はそれぞれ古書や楽器に目を奪われながら、ようやくカフェに到着。

テーブルを確保し、椅子をもってくる役などが割り振られているようなのですが、あれ、途中まで歌い終わってみたら、椅子が足りない・・・

ここで一度、役目を確認しています。(写真1

 

ロドルフォがミミを連れて現れると、男たちの間には小波が立ちます。”ロドルフォに女ができた!”みたいな。

その各人の反応を丁寧に説明する岩田さん。

 

ボヘミアンご一行様の周りに控えているのは、ウェイター役の役者さん。ここでも細かい演技指導が入ります。

ウェイターさんは3名いるのですが、先輩格の方々は"面倒くさい客がやってきた"と若手に押し付けるのです(無銭飲食お断り、君たちお金あるの?って感じでしょうか)それで、仕方なく注文を取りに来た若いウェイターさん。しかし、なかなか決まらない、さっさとしろよ~とイライラ。(岩田さん曰く、この部分のせわしない音楽は君のイライラなんだ!と。)さらにワンテンポ遅れているミミに、他の男仲間たちもイライラしはじめ、実はこの間、コッリーネはずっと貧乏ゆすりをしているという。

 

この場面、合唱なしの立稽古だったのでこんな簡素ですが、合唱も入ると舞台にのっかっている人の数だけで、大変にぎやかなシーン。合唱の中には子どもたちもいます。クリスマスなのでパルピニョール(おもちゃ売り)もやって来て、子どもたちは親におねだりをするんですね。

”こうした2幕の子どもっぽい部分というのは、男たちの最後の青春時代を強調している、男の青春なんて、とても子どもっぽいものでしょう?第3幕から、彼らは大人になりはじめるのだ”と岩田さん。

 

ちなみに、こちらのプロダクションは2007年のもの。翌年に再演されて、今回は3回目の公演。同団の皆様には、もう体にしみ込んだプロダクション。なのに、これだけ時間をかけて、また練り直してゆくという手間のかけように感心しきりでした!

取材2日目 “演技が染みつくまで”繰り返す、徹底した稽古

第1日目のレポーターは、ゆっきー(左)と めろでぃあんさん(右)です♪ 


初めてのオペラの立稽古見学ということで、どのような稽古が行われているのか、ワクワク!

音楽ライターの小田島久恵さんに解説して頂きながらの見学でした。

 

稽古場所は、昭和音楽大学の一室。

こんにちはユッキーです♪

藤原歌劇団の舞台稽古にお邪魔しました!

 

おっと、そこは舞台ではなく昭和音楽大学内のお稽古場。

床には立ち位地を表すビニールテープ。そして大道具、小道具らしきものがちらほら。

歌手の皆さんはTシャツ、デニム、スニーカーのような普段着でおいでです。

 

伴奏はオーケストラではなく、副指揮者による指揮とピアノ伴奏です。

今回は、演出の岩田達宗さんは途中からご登場、というわけで、演出助手の方が指示をだされます。

助手の方の台本には付箋がびっしり!

稽古は、第1幕冒頭から家主ベノアが家賃の取り立てに来る、通せば15分ほどのシーン。

お借りしたヴォーカル・スコア(配役ごとの歌詞とピアノ伴奏が書き込まれています)で流れを追いながら見ることができました。

これでイタリア語に堪能で、歌詞が分かればさらに面白かったのでしょうが!

 

第1幕冒頭の、画家マルチェッロと詩人ロドルフォが寒さにふるえるシーンから稽古の始まり。

服装はラフですが、稽古がスタートすると表情は真剣そのもの!!

今回の稽古では、間近で演技を見ることが出来たので、表情の変化や息遣い、そして何よりも迫力ある歌声が、ガンガンに伝わってきました。

4人の貧しい芸術家が、飢えと寒さに苦労しつつも希望を持って暮らしているこの部屋。

 

寒くて燃料を買うお金がないので毛布にくるまっているシーン、ここでは実際に毛布を使って稽古しています。

この毛布、実は表裏があり、センターラインも示されています。毛布をかぶったところできちんとセンター合うように、と細かい指示が!

稽古では、歌のテンポを落としてハミングのような感じで歌いながら、立ち位置の確認、小道具の使い方などを確認しながら行ったり、インテンポで行ったりと、テンポを変えながら何度も繰り返されます。


特に念入りに確認されていたシーンは、音楽家ショナールがワインや食べ物を仲間の元に持ち帰り、それをテーブルに並べて盛り上がるシーン。

ロドルフォ、マルチェッロ、ショナール、コッリーネの4人がそろい、動きが多いシーンなので、立ち位置や、ワインボトルの置き場所、注ぐタイミング、紙袋を投げ捨てる時には、その投げる場所まで細かく打ち合わせします。

 

食べるシーンでは、どれを誰が食べるかということも相談。

よくこんなに覚えられるなぁ!とびっくりです。

でも、舞台上で取り合いになったら絵にならないですものね。(笑!

 

美味しそうなパンは本物でした!アップルパイは作り物・・・

そして、家主ベノアが登場して、4人に追い出されるシーンがそれに続きます。

この場面でも、5人の動きを何度も確認。

流れる音楽の中で、ここまで細かくタイミングを合わせておかないといけないということを知って、大変驚きました。

ステージでは、それぞれの立ち位置や動くタイミング、小道具の使い方など、あらゆる動きに対して、きっちり役割が決められて、やっと調和あるステージが出来上がっているのだと知りました。


稽古ラスト30分のところで、演出家の岩田達宗氏の登場。

今日稽古したシーンをまず通しで行いました。

その間、気になるシーンを助手の方に指示。この後、再度、各シーンの確認を行います。

 

寒さに震える冒頭のシーンでは、岩田氏がマルチェッロとロドルフォの心情がどんなものかを詳細に伝え、それを理解の土台として、演技指導をされていました。

 

他のシーンでも、ただ単に動きの指示をされるわけではなく、歌詞の内容などに基づいて、とても細やかでかつ説得力のある演技指導をされているのが印象的でした。

 

出来上がったオペラを見ているだけでは、稽古でここまで細かく演技指導が行われ、“何度も何度も動きを確認して、演技が染みつくまで繰り返し稽古している”ことは、全く想像もできませんでした。

 

今までは、舞台セットの美しさ、歌声やストーリーなどを漠然と楽しんでいましたが、今回の稽古を拝見して、オペラの見方が少し変わりそうです。

演技の細かな動き、演技の根拠のようなところにも、注目したいなぁと思いました。

 

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稽古終了後には、ショナール役の森口賢ニ氏とマルチェッロ役の堀内康雄氏と記念撮影!

 

お二人ともスターなのに大変気さく&ジェントルマン!

「どうぞ中央に入ってください!」と申し出ても

「いえいえ女性は真ん中に」

 

というわけでこのような恐縮してしまうショットが実現しました。

 

そして、森口賢ニ氏からメッセージを頂きました。

「本番の緊張感あるステージは、稽古やゲネプロとは違うので、是非本番のホールで観賞して欲しい」

とのこと。

その言葉を伺い、舞台が組まれ、歌手の方々が衣装をまとった、11月のBunkamuraオーチャードホールのステージがますます楽しみになりました。

 

今回は、貴重な体験をさせて頂きありがとうございました。
 
by めろでぃあん&ユッキー

取材3日目 作品世界に存在する全てのものに意味が込められている!

本日は、初代女子クラ部ライター、鷲尾仁美さんのレポートです!

恋人からの手紙を冷静に読んでいたのに、それが別れを告げるものだと分かった瞬間、絶叫する青年。特に惚れる理由が伝わってこないまま、突如始まる恋愛、そして愛の二重唱・・・。

 

今まで私は様々なオペラを生や映像で鑑賞してきましたが、観たものによっては、たまに上記のように感じてしまうことがあり、そのたびに笑いを堪えていました。

そこまで人の感情って急激に変化するものなの?あり得ない!と。

オペラは作曲家の腕が肝心で、ストーリーに多少無理があるのは仕方がないことなのかもしれない、と思っていた時期さえありました。

 

そんな私に”オペラのもうひとつの観方”を教えてくれたのは、先日見学に伺った藤原歌劇団《ラ・ボエーム》の稽古です。

指揮者もいます!写っていませんが、右手にはオーケストラパートを担うコレペティ(ピアニスト)も。
指揮者もいます!写っていませんが、右手にはオーケストラパートを担うコレペティ(ピアニスト)も。

ラ・ボエーム》は、計100分という短い上演時間の中、ミミとロドルフォという男女の出逢い、激しい恋愛、不本意な別れ、ミミの病死・・・と、劇的な展開が次々に繰り広げられます。

私が今回見学させてもらったのは、第4幕後半、ヒロインのミミが息を引き取るまでのシーン、そして第1幕のミミとロドルフォが出会い恋に落ちるシーンなど。

今回、女子クラ部のガイド役を務めてくださっている小田島久恵さん曰く、「ラ・ボエームのハイライト」でした。

白いTシャツの方が岩田さん。岩田さんが実演することも!
白いTシャツの方が岩田さん。岩田さんが実演することも!

この日の稽古は、演出家の岩田達宗さんによる演技指導が中心。

なぜこの登場人物はそんなセリフを言うに至ったのか、そこに籠められた本心は何か。

岩田さんは登場人物の心情や性格だけでなく、作品の舞台となった場所の歴史的背景やジェンダー観にも言及し、ただ見ているだけの私まで深く頷いてしまうほど、分かりやすくイメージを伝えられていました。セリフの内容だけでなく、言うときの表情や視線の遣り方、手の位置、小道具の使い方に至るまで指導は入ります。

たとえば第1幕、ミミの自己紹介を聞いてロドルフォが彼女に惹かれていくシーン。

「可哀想な人生を送っているから、俺が何とかしてやろう」と同情から入った恋なのか、「彼女の心には素敵な詩がある、素晴らしい!」と尊敬して熱烈に恋をしたのか、自己紹介を聞いている彼の表情ひとつで捉えられ方が変わってしまう、と岩田さんは言います。

 

また、第4幕でムゼッタとマルチェッロという男女が部屋に入ってくるシーンでは、シナリオに描かれていない“2人が(部屋に入る前に)街を歩いているとき”の会話や心情までを想像させる説明がなされていました。

死別のシーン。本番当日はハンカチ必須!期待が高まります。
死別のシーン。本番当日はハンカチ必須!期待が高まります。

文学作品を読み解くように丁寧に、ひとつひとつを洗練させてゆく岩田さんと、それに即座に応えて、都度最高のパフォーマンスを魅せる出演者の方々によって、稽古は和気藹々とした雰囲気はそのままに、みるみる白熱していきました。

ミミとロドルフォが死別する場面では、迫真の演技と歌声に思わず涙が・・・。

 

演出家の岩田さんの指導がしっかり聴こえるところで稽古の見学をさせて頂いたことで、作品世界に存在する全てのものに意味が込められていることに改めて気付き、観る側もそれを積極的に捉えようとする姿勢が大事なのだと痛感しました。

 

そして今回の見学のお陰で、私は普段鑑賞するとき、遠目に舞台全体を観ているばかりで一度もオペラグラスを使ったことが無いということに初めて気が付きました!(“オペラ”グラスという名前が付いているのに!)

舞台を俯瞰してオペラならではの豪勢な空気感を満喫するのも楽しいですが、今までの私のように演出を見落とし、展開に違和感を覚えてしまうのはとても勿体ないように思います。“登場人物のその視線には、一体どんな意図が隠されているのか”、時にオペラグラスも使って歌手の表情をしっかり読み取ることが出来れば、オペラがより深く楽しめるのではないでしょうか。

 

藤原歌劇団『ラ・ボエーム』は11月1日から開幕します。

ご来場の際はオペラグラスをぜひお持ちください♪

by 鷲尾仁美

取材4日目 総合芸術“オペラ”の感動の秘密

オペラ《ラ・ボエーム》の稽古場に潜入!

バルバラ・フリットリとジュゼッペ・フィリアノーティの二人の外国人キャストも来日し、今日は外国人キャストにとっては3日目の稽古となるそう。

そして明日からは、いよいよ通し稽古が始まるとのことで、緊張感もいっそう増してきます。

本日のセッションは第2幕と第3幕の冒頭部分となります。

 

立稽古が行われているのは、昭和音大のとある一室。

 

第2幕の舞台は、1830年のクリスマスのパリ。

クリスマスを祝う群衆でにぎわう街の様子、そしてボヘミアンの仲間たちがカフェに集まり食事を始める様子で、年に一度の特別な日を祝う人々の喜びがじかに伝わってくるような雰囲気。

稽古場をめいっぱい使い(こんなに広く使うとは思っていなかったので、驚きでした。さすがにスケールの大きなオペラですね!)これから何か楽しいことが始まりそうな雰囲気に満ち溢れていました。

フリットリさん、このピンクのボンネットがお気に入り。他の共演者さんたちとじゃれていました
フリットリさん、このピンクのボンネットがお気に入り。他の共演者さんたちとじゃれていました

そこへ登場した主人公ミミを演じる、バルバラ・フルットリさん!

 

貫禄もたっぷりで声を出した瞬間に、場の空気が一瞬変わった気がしました。

もちろんそれまでは、群衆たちの賑わいで場が満たされ、合唱の人数の分、音量も大きく臨場感もたっぷり伝わってきました。でも主人公が登場する瞬間、というのはまた別物、まわりを圧倒するパワーがあると感じました。

深く太く、歓喜や哀しみなど、腹の底から生身の感情すべてをあらわにするような声、こちらの魂を深くゆさぶるような声は、何か強い魔力のようなものが宿っているような気がしました。それは人生の光の部分だけでなく、闇の部分も熟知した人間にしか決して表現することができない、とでもいうような声。

私は舞台はもちろん「人の声」というものに昔からものすごく興味があり、知らず知らずのうちに日常生活のなかで聴きわけているところがあるので(笑)それはとても新鮮で貴重な体験だったのでした。

しかも、それをものすごく近くで聴けたということは、本番とは違った感動があるのだと思います。

さて第2幕の稽古も終わり、第3幕に入ったとき、ここでは「演出」の細かな指示に驚きました。

 

それは、そうじ人夫たちが雪の降る街を歩くシーン。

彼らは、身体的に”寒い”のではなく、心が寒い”状態にあるということが伝わるように。肉体的には、おそらくもはや”寒い”という感覚さえなくなっているのかもしれない。だから「動きを多くして、ぶるぶる震える様子を表すのではなく、動きをむしろ控えて、”幽霊のように”歩いている」というようなことを演出の岩田さんがおっしゃっていて、なるほど!と思いました。 

 

普段、観客席から見ていると、動きの微細までを観ることはよほど集中していなければ難しいことで、どうしても動きの大きな方、声の大きな方、色の華やかな方、ダイナミックな仕掛けの方に目が向きがちです。

でも「なぜ、全幕を見終わった後に言葉にできない感動が残るのか」ということを考えてみたとき、見逃してしまいそうなほどの細かなシーンや演出、出演者の細かな動きもすべて「どのような気持ちで、どんな想いを表現するか?」という”心”や”魂”が入るからこそ、それが全体のなかで調和し、心の奥に響いてくるのかも知れません。

舞台は何一つ欠けても成り立ちません。全ての出演者の動き、声、音楽、演出、すべてが渾然一体となってこその総合芸術”オペラ”であるわけなのですね!

 

今回の潜入取材では、舞台本番では決してみることができない、気づくことができない、細かな点がいかに大切なのか、表現することの奥深さや崇高さが垣間見えた気がしました。

 

今から本番を楽しみに待ちたいと思います!

by タカエ

取材5日目 いよいよ総稽古!!

いよいGP(オーケストラも入っての総稽古)!

GPにはみきさんと、めろでぃあんさん、そして鷲尾仁美さんにご参加いただきました。


藤原歌劇団のラボエームGP見学に行ってまいりました!

前回は立稽古の初日を見学して、もう明日(11月1日)は本公演。

半月前の立ち稽古の和やかな空気を思い返しながらオーチャードホールへ向かいました。

予定開始時間ちょうどに幕が開き、立ち稽古の和やかさはもちろん一切無くピリとした緊張感いっぱいの中進んでいきます。

立稽古を見学した時に取り組まれていらっしゃった細かな動きや表情などを、おそらくあれからものすごい練習を積み重ね仕上げてこられたのだと、完成度の高いGPを拝見し感動いたしました。

皆様、自信を持って明日からの本公演に臨まれるのだと思います。

どうか素晴らしい公演になりますように、ますます期待が高まる貴重な時間になりました。

ありがとうございました!

by みき

本日(10月31日)は、11月2日に行われる日本人キャストによるGPに潜入してきました。

GP=本番直前での通し稽古。

立ち稽古の時とは異なり、本番が行われるオーチャードホールに舞台がセットされ、もちろん演奏もオーケストラによるもの。

それだけでも立稽古の時とは緊張感が全く異なるのですが、オーケストラが音を出した瞬間、会場の空気がさらに張りつめたものに!

衣装をまとったミミやロドルフォら出演者の方々の歌声もホールの奥深くまで響いてきて、一気に《ラ・ボエーム》の世界に惹きこまれました。

GPなので幕間では最終のチェックが行われ、舞台の仕上げも行われていました。

立稽古の時に知った細かな舞台作りも、GPを観賞する際には、感情の変化を歌声や所作でより感じることができ、また舞台上での流れるような出演者の方々の動きも、念入りに行われた立稽古によるものなんだ、と改めて感じることができました。

 

今回のオペラ《ラ・ボエーム》の演出家・岩田宗達氏は、舞台を画家・佐伯祐三氏の世界で作り上げたそうですが、その舞台セットが見事に”ボエーム”の世界にはまったものになっています。

そんな舞台で描かれる美しき青春ドラマ。

最後は涙なしでは見ることができません。

 

明日からの本番が楽しみです。

by めろでぃあん



取材第6日目 ついに本番です!フリットリ&フィリアノーティの出演する初日レポ

そして迎えた初日。11月1日はバルバラ・フリットリ&ジュゼッペ・フィリアノーティの来日キャストが登場する舞台を、みきさんにレポートしていただきました。


藤原歌劇団のプッチーニ《ラ・ボエーム》初日を拝見いたしました!

前日のGPを見学した際に本番そのものの緊張感だと感じましたが、実際にたくさんのお客様が入った会場はその何倍もの緊張感がありながら、舞台上の皆様は若い時代の青春をますます自由に表現されていたのが印象的でした。

バルバラ・フリットリさんががミミを歌うということで楽しみにしていましたが、深みのある歌声が会場全体に波のように響き渡る瞬間は、言葉では言い表せないほど甘美な瞬間でした。

ストーリーが複雑でない分、観る人によって感じる事が多様になるのが魅力の作品だと思います。

藤原歌劇団の皆様、素晴らしい時間を本当にありがとうございました。

by みき

そして終演後、舞台裏で演出家の岩田にすこしお話を伺う機会がありました!

(実は、今回の稽古レポート企画で、女子クラ部ライターのなかでは、岩田さん人気が急上昇!この日も、客席に座ってらっしゃる姿を発見し、凛々しいスーツ姿にときめいていました。)

 

フリットリさんは、わずかな稽古の時間の中でも、演出の意図を理解しようと努力し、このプロダクションに喜んで参加してくれたということをお話くださいました。ミミが身に着けるショール、あれは暑くてしかも意外に重いらしく、本人は本当は羽織りたくなかったのだそう。でもね、あれは”ろうそくの火”を表していて、ミミのはかない、社会的に疎外された存在を暗示しているのだと説明すると、納得して演じてくれる度量の広さも見せてくれたのだとのこと。

でも岩田さんには打ち上げにて、そのショールがどんなに重くて暑いかを体感する罰ゲームが待っているらしいです。

 

本日は、オール日本人キャストによる公演。こちらは初日とはまた違った密度で、この舞台の醍醐味を見せてくれるはず。岩田さんからも、まったく違うから、両方のキャストで見てほしい!!とのお言葉。

本日も15時からです。お見逃しなく。

***

そして、公演を一緒に見に行ったタカエさん(今年オペラ観劇デビュー!)からも感動の一言が届きました!

 

主人公ミミを演じるバルバラ・フリットリの優雅な貫禄が、全幕を通してとても印象的だった。《ラ・ボエーム》という同じ演目でも演出や脚本によってさまざまなミミがいることを知ったけれど、病に苦しむ姿でさえ崇高なオーラをまとっていてそれが声や佇まいそのものに表れていた。主役だからキラキラと輝くというオーラではなく、陰翳がある場面でも奥に引き込むかたちで魅了する力は、役柄にとどまらない彼女自身の圧倒的な存在感と人生経験を積んだ者にしか醸し出せない魅力なのだと思った。

by タカエ



取材第7日目 本番2日目は、オール日本人キャストによる公演です!

今回は、稽古・GPそして本番と、オペラができるまでの過程を追いかけてくれた、めろでぃあんさんのレポートにて!


11月2日、日本人キャストによる公演を観賞してきました。

GPで緊張感たっぷりの舞台を堪能できたと思っていましたが、本番は、そんなものではありませんでした!

オシャレに着飾った観客がホールを埋めることで、「オペラがこれから始まる!」という緊張感が最高潮に高まり、オーケストラの音色も張りつめたものに。

そして何よりもGPとは比較にならない、アリアや合唱の色が増した歌声に陶酔!

ソロのアリアも素敵ですが、三重唱や四重唱で若者の叫び感じることができる厚みのある響きにも感動!

ボヘミアンの青春恋物語を起承転結で描いた《ラ・ボエーム》は、陰陽の感情表現がハッキリと伝わってくるストーリーで、理屈なしに楽しむことができる素敵な作品でした。

ブラボーが飛び交い、繰り返されるカーテンコール。

いつまでもオペラの余韻に浸っていたかったです。

藤原歌劇団80周年という記念すべき最高の舞台、最高の感動をありがとうございました。

by めろでぃあん


稽古見学をしてくれた、ゆっきーからも本番の感想コメントが届きました!

練習風景を拝見したので実際に舞台を見ると感動もひとしお!

Tシャツにデニムの役者さんがメイクして衣装をつけて外国人さんに見えます!


第1幕の食事シーンはお稽古で細かく打ち合わせされた通り、それぞれの役者さんが決められたものを決められたタイミングで手にとりため息もの。

お稽古で相談されていた横を向くタイミングもばっちりで心の中で拍手を送りました。


パリのカフェのセットは佐伯祐三の絵からオマージュされたものということです。

落書きされて雰囲気のある壁などは絵から抜け出たよう。

クリスマスのシーンで大勢の合唱団による迫力のシーン。

ひらひら舞い落ちる雪はスノードームを見ているようで夢の世界。


ムゼッタがパリのカフェで歌うワルツが好き♡

一気に場が華やぎます。

自由奔放で男性をイチコロにするムゼッタは女性人気が高そう!

男性にちやほやされ、ムゼッタ使用済みの靴でさえちやほやされるのですから女神様です。

あぁ羨ましい。


天使のようだけれど弱弱しく見ていて歯がゆいと思っていたミミ。

ところが、砂川さんの意思のある演技によりミミも好きになりました。

ただ弱弱しいだけではなく情熱を秘めたミミがいました。


耳をくすぐる甘いセリフのシャワーを浴びニヤニヤしながら渋谷駅へ向かいました。

なんて素敵なオペラマジック!

by ユッキー

藤原歌劇団《ラ・ボエーム》

 

2014/11/1(土)、2(日)、3(月・祝) 15:00開演 @Bunkamuraオーチャードホール



スタッフ

総監督:岡山廣幸
指揮:沼尻竜典
演出:岩田達宗

 

出演

ミミ:バルバラ・フリットリ(11/1、3)/砂川涼子(11/2) 
ロドルフォ:ジュゼッペ・フィリアノーティ(11/1、3)/村上敏明(11/2)
ムゼッタ:小川里美(11/1、3)/伊藤 晴(11/2)
マルチェッロ:堀内康雄(11/1、3)/須藤慎吾(11/2)
ショナール:森口賢二(11/1、3)/柴山昌宣(11/2)
コッリーネ:久保田真澄(11/1、3)/伊藤貴之(11/2)
ベノア:折江忠道 
アルチンドロ:柿沼伸美 
パルピニョール:岡坂弘毅

合唱:藤原歌劇団合唱部  
児童合唱:多摩ファミリーシンガーズ

詳しくは➠http://www.jof.or.jp/2014boheme/

 

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